ノイネーム

ノイの団員はみな本名ではなく、あだ名のような短い名前「ノイネーム」を使って呼び合います。舞台上でしか使わない「芸名」ではなく、劇団員の間であれば、日常的な会話でもこの名前を使っています。

これはノイに限らず、子どもと触れ合う児童文化系の大学サークルではよく見られる「サークルネーム」という文化です。大学生の生活では日常的なものである「先輩・後輩」の関係を子どもたちに意識させない、など、いくつかの目的があるようです。

ノイも前身は東京教育大学の「児童文化研究部」であったため、この文化が残っているのではないかと思われます。

名前の決め方

ノイネームは連想ゲームで決めています。本人は自分の好きな名前を「選ぶ」ことはできますが、好きな単語を「指定する」ことはできません。

  1. ノイネームをすでに持っている団員を集め、ひとつの順番を決める。

  2. 名付けられる本人に対して、座長から何かお題を出す。(例:「行ってみたい国」)

  3. 本人はその答えを、団員の間で決めた順番の最初の人にこっそり伝える。

  4. 受け取った団員は、もらった単語から連想した単語を次の人にこっそり伝える。以下、繰り返し。

  5. 何周かして、十分な数が回ったら、全員が伝えた単語を公開して並べ、答え合わせをする。

  6. 本人は、自分が最初に答えた単語以外から、ノイネームを選ぶことができる。もし気に入ったものがなければ、座長に追加の1周を要求できる。以下、繰り返し。


実際にやってみるとかなりカオスな様子が見られます。謎の連想を生み出す団員や、誰も知らない単語をひねり出す団員など……。答え合わせで「なんでこうなったの?」と聞いて回るたび、かなり盛り上がります。

「ノイネーム決めの儀式」と呼ばれるこの決め方は、卒業生からいただいた情報によると、少なくとも1990年代から変わっていないようです。ただ、元々は紙切れを回して伝えていた連想ゲームが、最近はLINEなどで遠隔地のOBOGが参加できるようになるなど、細かなところが徐々に進化しています。

劇団外との交流

筑波大内の他の劇団系サークルには「サークルネーム」の習慣はありませんが、劇団間での人の行き来も多いためか、ノイ団員は慣例的にノイネームで呼ばれています。

OBOGのみなさんとも、ほとんどの場合はノイネームで交流します。プロ劇団や劇場など様々な場所へお伺いすると、ノイネームを持っている人に出会うこともしばしば。

他大学や関わりの強いプロ劇団の皆さんとも、ノイネームで呼んでいただける・サークルネームで交流する機会が多いです。お会いする機会がそう多くないと互いにサークルネームしか知らず、本名が分からず悩むことも往々にしてあります……。

なお「ノイネーム」は、ノイ団員であれば入団時に儀式をして贈りますが、作品に参加した外部のキャスト・スタッフや、公演当日を手伝ってくれたスタッフにも、感謝の気持ち(?)として贈ることがあります。このため、ノイ団員以外にもノイネームを持っている人がいます。